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【食品輸出】FDAで赤色3号が使用禁止に日本での影響は?変更点は?

執筆者の写真: サービス フードガイドサービス フードガイド

更新日:1月21日


【食品輸出】FDAで赤色3号が使用禁止に。日本での影響は?これまでとの変更点は?

FDAで赤色3号が使用禁止に。なぜ禁止されたのか、日本の食品業界ではどのような影響があるのかをプロが解説します。

 

【赤色3号とは?】

赤色3号とは、化学名を「エリスロシン」と呼ぶ、食用タール色素に分類される赤色合成着色料の1つです。日本では指定添加物の1つで、お菓子や漬物、かまぼこなどの食品の一部に使用されています。日本の食品表示では「赤色3号」「着色料(赤3)」などと表示されています。


【アメリカで使用禁止になった理由】

2025年1月15日、FDAより、食用赤色3号の食品への使用許可を取り消す旨の決定が行われたことが公表されました。

まずFDAとは米国食品医薬品局(Food and Drug Administration)の略称で、アメリカの食品、医薬品、化粧品、医薬機器等の製品の安全性や効果を監督する政府機関を表します。

食品に使う添加物なども監督対象としており、今回のような食用赤色3号の使用可否についても担っています。


ラットと食用赤色3号イメージ

そのFDAがこの度、食用赤色3号を使用禁止としたのは、雄ラットの試験において発がん性が認められた報告があったことによります。FDAでは添加物の使用許可基準の1つとして「動物やヒトにがんを引き起こすと考えられる物質は食品添加物として使用できない」とされているため、このような措置となりました。

ただし、FDAは【この雄ラットにおける発がん性の発生機序はラット特有のものであり、ヒトでは発生しないこと、他の動物やヒトの試験では同様の事象は見られておらず、食用赤色3号の使用がヒトの健康に影響を及ぼすという主張は科学的に裏付けされたものではない】ということも申し添えているということも我々は認識しておく必要があります。


アメリカと食用赤色3号のイメージ画像

【日本での使用状況】

 では、日本ではこれまでどのように使用され、今回のFDAの措置を受けてどのような影響があるのでしょうか。

 最初に述べたように、日本でも食用赤色3号は様々な食品への色付けとして利用されています。

懸念される身体への影響ですが、日本では添加物について、許容一日摂取量(ADI:人が毎日一生涯摂取し続けても、健康への悪影響がないと推定される一日当たりの摂取量)が定められており、食用赤色3号はJECFA(※1)による0~0.1mg/kg体重/日と設定されています。

そのうち、一般的な食生活の日本人が摂取している量として令和5年度の消費者庁の調査では、ADIの0.048%と大きく下回っており、摂取量はかなり少ないとされています。


そのため、日本では今すぐに食用赤色3号の使用を禁止することはなく、これまで通りの使用許可を継続するとしています。

その上で、「FDAの決定内容を精査し、諸外国の動向も踏まえ、科学的見地から対応が必要かを含め検討する」と今後の方向性を話しています。

食用赤色3号のイメージ画像

※1 JECFA…FAO/WHO合同食品添加物専門家会議の事で、国連の食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)による、各国の添加物規格に関する専門家及び毒性学者を集め、各国によって実施された添加物の安全性試験の結果を評価し、一日摂取許容量(ADI)を決定している。

 



【輸出の際には注意が必要】

 では今回のFDAの決定で特に注意しなくてはならないのは、日本からアメリカへの輸出を行っている・または今後検討している食品業者になります。なぜなら、日本では使用許可が認められているものの、アメリカでは使用禁止となるため輸出流通自体が不可能となるからです。FDAでは、2027年1月15日まで2年間の経過措置期間が設けられていますが、輸出に関わる食品業者は食用赤色3号の使用状況と、使用していた場合の材料変更などの対応が必要となります。

FDAにおける赤色3号イメージ

食用赤色3号は、原材料はもちろん、二次原材料として使用している場合でも最終商品にも影響を与えるものとして、一般的にキャリーオーバーとは扱われません。基本的には必ず表示される添加物となるため、原材料の表示や規格書から使用の有無は判断が可能です。ただし、規格書にどのように表示されているか、本当に使用しているのかいないのかの判断に確実性がなければ、輸出手続きを進めている中で不備があった場合、大きな損失となり得ます。

フードガイドサービスでは、食用赤色3号はもとより、添加物全般における使用や輸出可不可の事前調査を、論拠を提示し行っております。

また、今回のように法改正時のアフターサポートサービスも実施しています。

食品輸出表示サポートイメージ

【まとめ】

 FDAが使用不可を決定した「食用赤色3号」について、日本での動向はどのようなものか、特に気をつけなければならないのはどのような場合かを説明致しました。日本国内での使用については、現段階では大きく変更はありませんが今後の動向に注意する必要があること、輸出を扱っている業者は確認と対応を行う必要があります。

不安な点や不明な点が少しでもある場合は、専門家のアドバイスを利用することも安心材料の1つとなりますので検討いただければと思います。


 

■執筆者

塚狭智美

上級食品表示診断士/塚狭智美

■資格

・上級食品表示診断士

​・管理栄養士、栄養士・調理師・幼児食アドバイザー・食生活アドバイザー

■経歴

集団調理に管理栄養士として長年勤務​

その後栄養士養成学校・調理師養成学校にて食品表示、幼児食、栄養学の分野で教鞭をふるい10年以上のキャリアあり。

地方自治体の食品提供イベントの運営、

企業・個人店舗の食品コンサルの経験多数あり


参考

消費者庁HP

 

FDA HPプレスリリース

 

JECFA HP

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