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執筆者の写真横川仁美

食品添加物の不使用表示の規制強化。ガイドラインの要点を解説

更新日:1月22日


食品添加物の不使用表示の規制強化。ガイドラインの要点を解説

食品の多様化と加工技術の進歩により、市場にはさまざまな加工食品が登場しています。しかし、今日では過度な不使用表示が、一部の加工食品で問題視されています。そこで、消費者庁は「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン(リンク)」を令和4年3月30日に策定しました。ガイドラインでは、表示において注意すべき10の類型が示され、本記事ではその経緯と今後の見通しについて解説していきます。


不使用表示に関するガイドラインが作成された背景


消費者庁が「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を策定した背景には、食品表示法に基づく加工食品への保存料や着色料、香料などの添加物の明記義務がある一方で、「不使用」表示に関して具体的な規定が存在せず、表示方法が食品関連事業者等の判断に委ねられている点に挙げられます。その結果、不使用表示の方法が多岐に渡り、消費者に対して、わかりにくい状況が生じています。


実際「無添加」と記載されている商品では、具体的に何が無添加であるかの対象が不明確であったり、当該添加物と類似する他の添加物が使用されている場合などがあります。さらに本来は表示が必要のない商品で「不使用表示」が使用されることで、あたかも良い商品であるかのような無用な誇張や適正とは言えない表示が問題視されています。そのため、消費者は添加物の使用内容や安全性について誤った認識を持ち、不使用表示の商品を他の商品よりも優れた選択肢と誤解する懸念が考えられます。しかしながら表示等の可否の個別の判断を事業者独自で都度、正確に識別することは困難をきたしていることから、それを踏まえ、対策の必要性が急がれていました。

表示を作成するうえで注意すべき10類型


そこで当該ガイドラインでは、食品関連事業者などに消費者が理解しやすい表示を求め、容器包装への表示のうち、禁止事項に該当する可能性のある特に注意が必要な事例の不使用表示を以下のように10の類型に分類しています。


このガイドライン策定は、事業者の適正な対処の促進や、行政による消費者への啓発を目的としているため、下記の10類型の理解はとても重要です。

食品表示ガイドライン一覧

※消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」の一部を抜粋したものです。詳しくは、ガイドラインをご確認ください。


ガイドラインに基づく表示見直し期間


食品関連事業者等は、ガイドラインの策定を受けて、商品の容器包装への表示の見直しを行う必要があります。ガイドラインが規制強化ではないものの、その性質から移行期間が設けられており、2024年3月末までは旧表示内容の包装である製品であっても流通可能とされています。


ただし、移行期間終了後は罰則が科される可能性があります。


したがって食品関連事業者等は、表示内容の変更や差し替えをできるだけ早く行う必要があります。移行期間終了までには、適切な表示に切り替えて、ガイドラインに準拠した情報提供を行うことが重要です。


まとめ


ガイドラインの策定により、「不使用」「無添加」等の表示の見直しが進み、一部の食品関連事業者はセールスポイントの喪失に直面していることが考えられます。消費者は判断基準のための正確な情報を持ち合わせていません。添加物の使用に対し安全性評価を受けて使用されていることを理解していない消費者は実に60%以上であるという実態があります(注1,2)。消費者に向けて、より丁寧なアプローチをするにあたり、商品パッケージの表示だけでは一般的には安全性の判断が難しいため、自社製品のPRを兼ねて、ウェブサイトやSNS等のオウンドメディを用いて商品の添加物情報を提供するなど、企業側の工夫が必要です。


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<参考文献>


(全データ2023/06/05参照)



執筆者

管理栄養士:横川仁美 

食専門ライター×Nadiaアーティスト(料理研究家)


管理栄養士:横川仁美 

管理栄養士を取得後、保健指導を中心に、のべ2500人の方の食のアドバイスに携わる。現在は、食事・栄養・食材のコラム執筆・監修、レシピ作成を中心に活動、薬機法・景品表示法・健康増進法・食品表示法の知識もいかしながら、様々な企業の記事作成や商品オリジナルレシピ開発を行っている。


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