更新日:5月24日

食品販売時には、食品表示法で決まった内容を食品表示ラベルに記載する必要があります。今回は、食品表示法で規定された内容やラベルの作成方法、そして違反による罰則について解説します。
食品表示ラベルとは?
食品表示ラベルは、食品表示法によって商品の包装容器に添付が義務づけられた表示です。表示方法や項目などが規定されており、消費者の安全性の確保や適正な食品の選択や使用をするうえでの、大切な情報源になります。また、食品事故が発生した場合には、責任の追及や行政措置を的確に行うために役立つものです。
食品表示ラベルの表示ルール
食品表示ラベルの表示方法には以下のようなルールがあります。
・一般消費者が理解しやすい日本語で、容器包装の見やすい箇所に表示。
・文字及び枠の色は、背景色と対照的な色で表示。
・文字は、日本産業規格 Z8305(1962)が規定する、8ポイント以上の大きさで表示。
(表示可能面積が150㎠以下の場合は、5.5ポイント以上の大きさで表示することが可能。)
また、名称、原材料名などを「一括表示(枠内にまとめて書くこと)」を基本に表示することが規定されています。これにより、一目で必要な情報を把握できるようになっています。
食品表示ラベルに記載する項目は?
食品表示ラベルには、一般的に以下のような情報を記載します。加工食品の表示を例に説明します。
<表示例 >

<表示事項一覧>
①名称
一般的な名称を記載します(商品名ではありません)。
例)サクサク食感ビスケット× ビスケット〇
②原材料名
原材料は、使用した重量の割合が多い順に、一般的な名称で記載します。
③原料原産地
加工食品(輸入品除く)には、重量割合が最も多く含まれる原材料の原産地を記載します。
例)小麦粉(国内製造)
④添加物
添加物についても、使用量の多い順に物質名を記載します。さらに、原材料と明確に区別するために「/(スラッシュ)」で区切ったり、改行して記載します。
●「/」で区切る場合
原材料名
小麦粉(国内製造)、砂糖、ショートニング、卵黄、食塩/膨張剤・乳化剤
●改行する場合
原材料名
小麦粉(国内製造)、砂糖、ショートニング、卵黄、食塩膨張剤・乳化剤
⑤アレルゲン
症例数や重篤度の高い「特定原材料」を含む食品には、アレルゲン表示が義務付けられています。「特定原材料に準ずるもの」は可能な限り表示するのが望ましいとされているアレルゲンです。
●特定原材料:義務表示(8品目)
卵、小麦、乳、えび、かに、落花生(ピーナッツ)、そば、くるみ※
※くるみは現在、経過措置期間。2025年の4月から表示が義務化。
●特定原材料に準ずるもの:推奨表示(20品目)
大豆、さけ、いか、あわび、いくら、ごま、さば、鶏肉、牛肉、豚肉、カシューナッツ、アーモンド、キウイフルーツ、オレンジ、バナナ、もも、りんご、やまいも、まつたけ、ゼラチン
アレルゲン表示は、通常、原材料の後ろに括弧書きする「個別表示」が原則です。しかし、特定原材料が原材料として明示されている場合などは、例外的に「一括表示」が認められています。
表示例)
●個別で表示される場合
卵黄(卵を含む)
●一括表示の場合
原材料の最後にまとめて括弧書きで記載。
(一部に小麦・乳成分・卵を含む)
⑥内容量
「g」「ml」「枚」などの単位を明記して記載します。
⑦賞味期限・消費期限
比較的傷みにくい食品には賞味期限、品質の劣化が早い食品には消費期限を記載します。また、期限の表記は、通常「年・月・日」の順に表示します。
例)賞味期限 令和5年3月31日
⑧保存方法
商品の特性に合った開封前の保存方法を記載します。
例)(要冷蔵)-18℃以下保存
例)直射日光・高温多湿を避けて保存
⑨製造者等
表示に責任を持つ食品関連事業者の名称や住所を記載します。
⑩栄養成分表示
エネルギー(熱量)、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の表示が必要です。
※上記は大まかな基本項目です。食品の種類に応じて表示項目が異なります。
食品表示ラベルの印刷方法
食品表示ラベルは、ラベルプリンターを使用するのが一般的です。
<食品表示ラベル作成する際の注意点>
・印字ミス
食品表示に必要な情報を漏れなく記載し、印字に誤りがないよう注意します。栄養成分表示やアレルギー表示の漏れや表示内容の誤りは、消費者に誤解を与えるばかりか、食品事故にもつながりかねず、商品や企業の信頼性を損ねる恐れがあります。
・法令改正
食品表示に関する法律は、時代や社会情勢に応じて改正されます。法令改正や制度の変更があった場合、ラベルの内容も対応する必要があります。
食品表示法に違反した場合
食品表示法に違反した場合、過失であり、指摘後にすぐに是正、対応をするのであれば、基本的に国から「指導」されることになります。
食品表示基準に則さない表示をした場合は、「指示」が出され、従わなければ、「命令」が下されます。それでも、その命令に従わなければ、「1年以下の懲役」または「100万円以下の罰金」、法人は、「1億円以下の罰金」の罰則が科されます。原産地や原材料について虚偽の表示をした場合は、2年以下の懲役または、200万円以下の罰金、法人の場合は1億円以下の罰金が科せられます。
なお、指示、命令が出されたときは、その旨が公表されます。
また、特定原料(アレルゲン)や消費期限の表示が適切でない場合は、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金または併科、法人の場合は1億円以下の罰金ですが、生命や身体に対する被害や拡大が懸念される場合は、回収等命令が出され、違反すれば3年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰則、または併科が科せられます。
立ち入り検査等を拒めば、50万円以下の罰金となります。
まとめ
食品販売時には、適切な情報を食品表示ラベルに記載することが法律で義務付けられています。本記事では加工食品を例に挙げ、表示すべき基本項目について説明しましたが、鮮食品を含め、商品に応じた情報提供が必要です。表示漏れや誤った表記があると罰則が科せられることもあります。消費者が安心して商品を選べるように、正確な情報提供と法令遵守を心がけましょう。 <参考文献>
・ 消費者庁「令和5年3月作成 加工食品の食物アレルギーハンドブック」
執筆者
管理栄養士:横川仁美
食専門ライター×Nadiaアーティスト(料理研究家)
管理栄養士を取得後、保健指導を中心に、のべ2500人の方の食のアドバイスに携わる。現在は、食事・栄養・食材のコラム執筆・監修、レシピ作成を中心に活動、薬機法・景品表示法・健康増進法・食品表示法の知識もいかしながら、様々な企業の記事作成や商品オリジナルレシピ開発を行っている。

(全データ2023/05/13参照)